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卒業生インタビュー

卒業生×音楽プロデューサー
インタビュー

音楽プロデューサー兼
agehasprings代表取締役CEO
玉井健二さん

姉妹校卒業生
agehaspringsグループ
aspr所属クリエイター
永澤和真さん

永澤和真

永澤和真

気鋭のクリエイター集団・agehaspringsグループのasprに所属している永澤和真さんは姉妹校の卒業生。
学校のプロジェクトで評価され、契約が決まりました。
「ファンがつくクリエイター」を見抜いてきた音楽プロデューサー兼agehasprings CEO・玉井健二さんは、永澤さんの“音楽への情熱”を早くから察知していたようです。

一 玉井

僕が知る限りこの学校のインフラは
日本で一番、世界でもトップクラス

玉井:
永澤と初めて会ったのは、OSMの校舎だったよね?
永澤:
はい。初めてお会いしたときは玉井さんのオーラに圧倒されてしまい、お話しするときめちゃくちゃ緊張しました。
玉井:
そんな風には見えなかったけど。
永澤:
実はものすごく緊張してたんですよ(笑)。
玉井:
永澤の第一印象は「顔がいい」だった。作る音がいいのは会う前から知っていたし、人柄がいいことは学校の先生から聞いてた。実際に会ってみたらすごくいい顔をしているなと。実は、音楽に携わる人って裏方であっても顔が大事。生きてきたプロセスや信念が表れるパーツだし。だから「いい人材と出会えたな」と思ったよ。
永澤:
ありがとうございます。
玉井:
それと作っている音楽が素晴らしかった。永澤の中には曲を作る上で「美しい・美しくない」の線引きが明確にある。その線がいいなと思った。この人は必ず世の中から求められる人だと感じました。自分が持っているものと時代の接点がうまく重なるといい作品になるんだけど、それを作っていける人になりつつある。あとは自分の武器を磨いていくだけじゃないかな。ただ、そこが一番難しいところでもあるからいろいろ研究しないとね。
永澤:
はい、頑張ります。
玉井:
(永澤を見て)そのシャツ似合っているよ。それが着こなせるようならもう大丈夫。
永澤:
よかったです、ありがとうございます(笑)。僕がagehaspringsグループのasprに入ったのは、学校と企業で連携を取って進める「クリエイターズ・アライアンス・プロジェクト」がきっかけでした。このプロジェクトでagehaspringsの案件に取り組んだところ、ありがたいことにいい反応をもらい、グループ会社のasprに所属することになったんです。実はその直前の僕はスランプに陥っていて曲が思い浮かばないし、自分をどうやって成長させていいのかわからない状態でした。それで本校の先生方に相談してみたら具体的なアドバイスをいただけて、おかげでスランプを脱却でき、「クリエイターズ・アライアンス・プロジェクト」に取り組むことができました。相談に乗ってくださった先生方と、僕の音源を選定してくださった玉井さん、agehaspringsの方には本当に感謝しています。
玉井:
永澤はなんで専門学校で音楽を学ぼうと思ったの?
永澤:
1人で楽曲を作っているとどうしても自分では気づけない部分があるんです。自分の知らないこと、気づいていないことを知識として得たくて学校へ行こうと思いました。いろんな専門学校の資料を取り寄せたんですが、知りたいことを全て学ぶことができそうだと感じた本校に決めたんです。レコーディング室などの設備が整っていることも紹介されていて環境がよさそうでしたし。
玉井:
持ち上げるわけじゃないけど、この学校のインフラは僕が見た限り日本で一番だし、世界でもトップクラスだと思う。プリプロ(レコーディング前の仮録音)からレコーディングまで完璧にできる、プロの我々でさえ持っていない環境と、優秀な講師陣が揃っていて。プロになったときに、「これは学校で経験したことがある」から始められるのがとても素晴らしいことだと思う。
永澤:
そうですね。
玉井:
最近のアマチュアは知っていることはいっぱいある。今の時代は検索すればすぐ出てくるから。ただ「知っている」ことと「わかっている」ことの差はとても大きい。知っているだけじゃなく、実際に経験して「わかっている」という事実は自分を支えてくれる。永澤は多分、プロになって実感しているんじゃないかな。
永澤:
はい、しています。
玉井:
学校で知識を増やし、これからも増やし続けたいという意欲がある永澤みたいな人は即戦力になります。
永澤:
ありがとうございます!
玉井:
学校ではどんなことが印象的だった?
永澤:
授業で、「このトラックの音の組み方がわからないんです」「作詞でこういうときのワードの当てはめ方がわかりません」など知りたいことを先生に聞くと、細かく教えてもらえたことです。昔の僕は、実はかなりプライドが高かったんですね。「このプロジェクトは、自分がいるから回っているんだ」とか思っちゃっていたわけです。でもある先生が、ガチガチにトガっていた僕の変なプライドを授業で正してくれました。あの授業で指摘されていなければ今の自分になれていなかったと思います。
玉井:
その先生にぜひ習ってみたいね(笑)。
卒業生インタビュー
一 永澤

自分が作ったものを深く理解してくれる
その人の存在がやりがいにつながる

永澤:
玉井さんはずっと音楽業界で活躍していますが、ターニングポイントってありましたか?
玉井:
一番大きなポイントは、YUKIちゃんの『JOY』をプロデュースしたこと。大げさに言うと命をかけた曲。これをいいと言ってもらえなかったら全てを捨てる覚悟で、できうる限りのノウハウと労力を注いだ作品だった。結果が出たことで、そこまでの道が間違っていなかったことと、今後覚えなきゃいけない課題が明確になって。そういえば永澤はどうやって曲を作っているの?
永澤:
僕の場合はまずメロディから考えます。友達と遊んでいたり、1人で歩いているときにふと“降りてくる”感じですね。それを携帯に取り込み自宅で打ち込んでアレンジしています。
玉井:
「美しい・美しくない」の基準は?
永澤:
確かに玉井さんが言った通り、しっかりとした線があります。コンペに出す場合も自分の中のボーダーラインを超える楽曲に仕上げることが第一段階です。睡眠時間を削ってでも、そこまで持っていくことが僕のモットーです。MIXのバランスや1つ1つの音のカッコよさがボーダーラインにつながると思うのですが、その感性を磨くために日ごろからいろんな楽曲の音を研究しています。例えばある曲のギターを音質までコントロールして自分でコピーしてみたり。それを様々なジャンルの曲でやっています。
玉井:
作曲のトレーニングは曲の細部まで自分でコピーしてみて仕組みを知るのが一番で。
永澤:
そう思います。
玉井:
実践で使えるアーカイブを増やすにはこれがベスト。そこに気づいているかどうかが大きいね。永澤はすでにアーティストに楽曲を提供しているレベルだし。
永澤:
先日も仮谷せいらさんのEPで、『しぶといLady』の詞曲を担当しました(※詞は仮谷と共作)。この制作を通して、たくさんの人の手が1つの作品に集約されることを再認識できたんです。とても感動しました。
玉井:
実際に音楽を仕事にしてみて、どんなところにやりがいを感じるの?
永澤:
自分の中で生まれたものを世に出すことです。今はSNSを通して評価が直接耳に入ります。「ちゃんと聴いてくれているんだ」と思えるし、深く理解してくださる人も多くてやりがいにつながります。あと仕事をいただけるのは僕1人の力じゃなく、マネジメントの方やたくさんの方々が動いてくれるおかげです。だからこそ依頼が来たら死ぬ気でトライする。そこもやりがいだと捉えています。
玉井:
僕は音楽の仕事に就いて30年を超えたけど、どんな楽曲でも生まれた瞬間から永遠に残るものになると改めて感じてる。曲を作ること自体がすごいしステキなこと。そして生まれた曲が誰かに影響を与えたり、誰かのためになる。永澤が「命を賭けてみたい」と思うくらい価値を感じているのは、それだけ人が反応してくれるからだよね?
永澤:
はい。
玉井:
自分が身を削って磨き上げて作ったものを人が喜んでくれる、このいいループを体感した人は幸せな気持ちになるんだと思う。だからこそ、興味があるなら音楽を仕事にすることにトライしてみてほしい。そのいい例に僕らがなるためにも、頑張らなきゃいけないね。
永澤:
はい!
玉井:
「音楽を仕事にしたい」という人がもっと増えることを、僕は心から願っているから。
卒業生インタビュー
一 玉井

成功した人は音楽機材に触る時間が長く、作った曲数も多い

玉井:
さっき言っていたコピー以外にも、やっているトレーニングは?
永澤:
コンペ後に気持ちをリセットして、自分が作った曲をもう一度聴いてみるんです。弱いと思ったところを全部書き出して、打ち消すには何をすればいいのかを洗い出します。リズムが弱いのであればリズムが強いジャンルの楽曲をコピーして、グルーヴをどのように取っているのかを理解します。シンセの音が弱いと感じたら、音作りの動画を見て手法を取り入れます。弱点を1つずつ潰していけば、目指している完璧な姿に近づける気がするんです。
玉井:
僕が永澤くらいの歳のころにやっていたのは、「曲を全部聴かない」というトレーニング。イントロだけ聴いたら止めて、続きの展開を自分ならどうするか考える。サビ前で止めて、自分ならどんなサビにするかを考える。これが短時間でバリエーションを増やす、一番手っ取り早い方法なんだよね。歌詞も同じで、1行目以降を隠して、続きを自分で書いてみる。本来の歌詞と比べてみると、プロのテクニックを感じ取れるはず。このやり方を続けていくと、自分の中に回路が増えていく。ぜひやってみてもらいたいね。
永澤:
僕も実践します!
玉井:
サウンドメイキングで言うと全てのトラックを完璧にしたいだろうけど、それを実際にやられるとウザくてしょうがない(笑)。出された料理が全部高級で、飲み物も全部パンチが効いていたら、すごいとは言われるだろうけど嬉しくはないよね。プロになって数年経ったうちのクリエイターによく伝えるアドバイスなんだけど、「どこかをヘボくしなさい」と。どこを捨てるかを選ぶセンスが、人を幸せにするセンス。例えばアルペジオで始まる曲は新しい弦でいい音を出したくなる。でも実は逆で、ヘボいギターにクオリティの高いドラムが混じったら、その混じり方がカッコイイとなるわけ。全てを完璧に仕上げようとせず、何かをクオリティダウンさせることが大切。
永澤:
自分の中で完璧に仕上げたものをヘボくさせることって、勇気が必要かもしれません。
玉井:
打ち込んだ音は自分の子どもみたいなもので、可愛くてしょうがないよね。
永澤:
わかります。
玉井:
だから、この子のいる国を作ると考えればいい。国の中でこの子が幸せになるには、どうバランスを取ればいいのかを考える。実際にやろうとするとなかなか難しいので、実践を繰り返すことが大事だね。
永澤:
勉強になります。
玉井:
実際、毎日いろいろとトライしているでしょ?
永澤:
学生時代から毎日曲を作っていました。僕は学生のころに「音楽のない人生はあり得ない」と考えていて、絶対に音楽を仕事にすると決意していました。友達と遊びに出かけた日は、帰宅してから翌日の授業まで徹夜してずっとDAWに触っていたんです。今でも毎日必ず触ります。自分の中でもう習慣になっていますね。
玉井:
うちで成功した連中は、とにかく音楽機材に触っている時間が長いし、作った曲が多い。単純に触っている時間が長い人は、より音に詳しいわけで。詳しい人が作った音楽には魅力があるんだよ。僕は永澤ほど立派なことは何もしていないんだけど……。
永澤:
いえいえ(笑)。玉井さんがずっと続けていることがあるようなら、教えていただけませんか。
玉井:
自分の中で決めていたのは、常に「なんで?」と思い続けようということ。例えばみんな携帯電話を「四角」と表現するけど、実際は角が丸くカーブしているよね。作る人の立場からすると、このカーブに至る経緯があったはずで、大げさに言うとそこには哲学がある。なぜその哲学に至ったのかを考える癖をつけておくと、自分の中に様々なアーカイブができるんだよ。そうすると新人のバンドを育てようとなったときに、「AとBとDを組み合わせてみよう」と応用が利くよね。同時に、意味を答えられることも大事。「なぜ、この音はこうなっているんですか?」と聞かれたら、完璧に答えられなければいけない。例えば、「このフレーズは、70年代のギターアンプの音と、2000年代のキックの音が混ざっている。なぜかと言うと……」と説明できるようにね。
永澤:
まだ僕にはない観点で……。すごい衝撃を受けました。玉井さんのお話を起点にして取り入れていきます。
卒業生インタビュー
一 永澤

依頼に自信を持って応えられるように
国内外の流行のチェックは欠かさない

玉井:
プロとして気をつけていることは?
永澤:
クライアントからの依頼は単純にチャンスです。「担当させてください!」と自信を持って言えるように、普段のトレーニングや国内外の流行のチェックを欠かさないようにしています。「最先端なことをしてください」という依頼は意外と多いので、知識と引き出しを極力増やしていれば対応できると思うんです。それとレスポンスの速さも重視しています。例えば「〆切は一週間後です」と言われて一週間後に提出するのは僕の中では遅い。「レスポンスは最高速で」をモットーにしています。あとは相手がほしい楽曲像を依頼の文面から忠実に汲み取って作品にすることが僕の仕事だと思っているので、求められているものをしっかり見極めてから作るようにしています。
玉井:
サービスやエンターテイメントがこれだけ多様化してくると、作品は薄いものと濃いものに二分化すると思う。agehaspringsの何が誇れるかと聞かれたら、僕は作り出すものの濃さだと思っている。依頼が来たときにその仕事にかける時間の濃密さ自体が魅力になるんです。永澤にとっては悩ましい時間かもしれないけど、そんな時間を過ごせることをうらやましがる人はたくさんいる。僕がこの会社のリーダーとして考えているのはその濃さに触れたい人たちが触れられる機会を増やすことと、そこに魅力を感じてくれる人たちが集まれる場所とつながれる環境を作っていくこと。裏方の人間は表で語らないという風潮が昔はあったけど、今は裏側を見せるコンテンツのほうが興味をそそっている。いろんなメディアがある中で、全てにおいて濃密で中身の詰まった足跡を見せていきたいんです。
永澤:
玉井さんはずっと走り続けてきて途中でやめたいと思ったことはありますか?
玉井:
ほぼ毎日思ってる(笑)。どうすれば他の仕事ができるか考えてはきたけど、結論としてはいつも「この仕事しかない」なんだよね。僕がラッキーだったのはあらゆる可能性の中からやっと見つけた場所が、唯一の才能のある分野だったこと。もっと器用にいろんなことができるタイプだったら途中でやめていたかもしれない。音楽で得たものは音楽に還元したいし、その土壌が豊かじゃないと幸せに暮らせないと思っている。だから、土壌を提供してくれる人たちとつながってもっといい環境を作りたい。世界を見渡すとアジアはものすごい勢いで伸びているし、インフラの差は縮まっている。その中で日本人ならではのきめ細やかさと美しさにこだわりつつ、ちゃんとポップなものを作り続けられるようこれからも努めていきます。
永澤:
僕はまだ新人なので、音楽に携われることがとにかく楽しくてしかたないです。何よりも音楽が好きで、まるで恋人みたいだなと思うときがあります。「たまにケンカするけど、やっぱり好きだ」みたいな(笑)。
どれだけスケジュールがタイトだろうが難しい案件であろうが、苦しさは感じません。でもこれからは苦しいと思うような経験も積んでいきたいですね。
卒業生インタビュー
一 玉井

自分を育てていくことを忘れなければ夢に手が届く

玉井:
永澤が今後やってみたいことは?
永澤:
中学時代からの夢である、音楽プロデューサーです。大きなプロジェクトを動かす玉井さんのような人になることを、ずっと昔から目指しています。まずは通常の楽曲からCM音楽まで幅広く担当できるような作曲家になって、実績を積み重ねた上でプロジェクトを中枢で動かせる存在になりたいです。
玉井:
いい夢だね。僕はこの会社を作ったときから、目標はたった1つ。日本の音楽のノウハウや日本で優れた音楽を作っている人たちを、もっと世界に輸出したい。市場を海外に広げることができればCD販売数は実績の一例でしかなくなる。それこそ世界中の人が「永澤和真」という名前を知っていれば当人が望む環境を手に入れられるし、クオリティとオリジナリティの高いものを量産できるようになる。結果、世界中の人がもっと喜ぶだろうし、触発された人が「いい音楽を作りたい」と日本にやってくる……、そんな循環を実現させたいんです。そのためには日本でagehaspringsがバリューを持っていなければいけないし、求められる存在で居続けなければいけないんだけどね。
永澤:
やっぱりこれからは、世界がマーケットとなる時代でしょうか?
玉井:
シンプルに言うと、「ほしい」という人の人口が1億人で終わるのか、150億人になるのかで大きく変わってくるよね。例えば中国の人口は約14億人、インドは約13億5000万人もいる。でもカルチャーのテイストや高さはまだ日本とはギャップがあるので、そこに需要があると思う。この需要を埋めるために必要なのが、言葉・文化・リスクをクリアにすること。このあたりのスキームができれば簡単なことだと思うよ。
永澤:
カルチャーのグローバル化はどんどん進んでいきますね。
玉井:
それを担うのはこのページを読んでいるこれから音楽業界に飛び込んでくる人たちかもしれない。
永澤:
音楽業界を目指していると言ったら「何を言っているんだ、お前」と言ってくる人が世の中にはいっぱいいます。でも努力を忘れず「絶対に成し遂げる」という気概で取り組めばきっと成功する。そのためには進む方向を定めて、そこに向けての研究をしていかなければいけない。もし本校に入学したら、実績のある先生方がいろいろと教えてくれます。自分を育てていくことを忘れなければ夢に手が届くと思うので、頑張ってください!
玉井:
「知っている」がどれだけあってもそれだけじゃ生きていけない。「わかっている」の数が自分を支えてくれます。それを得るための環境に飛び込んでわかっている人たちと触れ合い、どんどん吸収してほしい。「わかっている」の数と高さが多いほど人生を切り拓いていけるので、知っているだけの状態から臆せず脱してください。